レポートLesson19:不登校のススメ 子供の感受性を邪魔しない(2022.11.28)

Lesso19(2022・11・28)のレポートです。Zoomで実施されました。
ナビゲーターは不登校経験者で現職の国会議員の寺田学さんと寺田静さん。おふた方の不登校時代の経験など、飾らない本音のお話です。
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ご案内文から
私の名前こそ「まなぶ」ではありますが、 決してその学びの道は順調でも平坦でもありませんでした。
不登校の時期があったり、退学を考えたり、入り直したり。
それは、決して私だけではないと思います。

プロフィール
☆寺田学(てらだ まなぶ)
衆議院議員。1976年秋田県横手市生まれ。
中央大学、 三菱商事を経て、2003年初当選。
内閣総理大臣補佐官を歴任。
現在は教育の多様化、性犯罪対策、音楽業界支援等に取り組む。
超党派多様な学びを創る議連事務局長。

寺田静(てらだ しずか)
1975(昭和50)年、秋田県横手市生まれ。
横手城南高校中退後、大検取得、早稲田大学入学。
卒業後、 東京大学生産技術研究所勤務。
中学、 高校と不登校だった自らの経験からフリースクールスタッフ養成研修講座に参加、
東京シューレ等にてボランティアスタッフを務める。
米国留学後、議員秘書、電気自動車普及協会勤務を経て、 2019(令和元)年初当選。
全ての子どもの育ちと学び、里親制度の推進、 ジェンダーギャップの是正、
福祉、農業、環境問題、地方が抱える諸課題、国際支援等に取り組む。
夫と息子の3人家族。

 

不登校の経緯

 

学さんの場合

 学校に抵抗はありませんでした。ただ悪ガキで周囲から無視されるようになりました。それが半年くらい続いたとき、登校したくないと。母は状況を知ってたのか、すぐ休む手配をしてくれました。特にグループ活動の日は外されるので理由が無くても休めました。
 ツライ時に無理しなくてすんだので越えられたとおもいます。
…親御さんの対応…
 9歳上に姉、6歳上に兄がいて、私は三番目だったので母はおおらかだったのでは。世間体も気にしてませんでした。当時父は市長でしたが、「市長の息子なのに不登校」と言われたこともありません。


静さんの場合

 親の仕事の関係でよく転校しました。秋田→青森→秋田と転校し、青森の中学はとても楽しかったです。ところが、中三の5月、秋田の中学に転校初日のことです。職員室もあいさつしろ、下げ方が違うと頭をつかまれこうしろと言われました。セーラー服のリボンの結び方、スカート丈、前髪の長さとチェックされる日が続きました。

…祖父の葬儀で欠席をずる休みと…

 中三の11月祖父が他界し、葬式で三日学校を休みました。登校したら、校門で教師に「ずる休みするな!」と言われました。行くのをやめたいと親に話したら、すぐ認めてくれました。翌日学校に置いてある荷物を取りに行ったら、間が悪く父の欠席連絡と時間がかぶり、問い詰められました。でも「もう行かない」と決めてたので何を言われたのか覚えてません。
 母は私の日記を読んでいて事情を知っており、謝られました。

…自分を責める…

 その学校は嫌いだけど、学ぶのは好きです。学校に行けない私が悪い、弱いのではないかと自分を責め辛く、勉強が手につきません。みんなの記憶から消えてしまいたいと思いました。飼い猫に顔をなめてもらったのは慰めでした。
 母は一日中、一緒に家にいては良くないと、週に一度手話サークルへ外出しました。弟は普通に同じ中学に通いました。

…希望を無視する進路指導…

 女子高校に進学しました。その高校は就職する専門学校クラスと大学進学クラスに学力で分けます。本人の希望を聞きません。私は大学進学希望でしたが、不登校で学力不足。就職クラスへ。疑問と不安、大学へ行きたいけど、この学校ではない。やめようかと悩みました。
 高二の終わり、秋田市の大検の予備校へ母といきました。そこは親切で、あと三科目とればいい、予備校に通う必要はないとアドバイスしてくれました。出席日数は足りてます。テストの日だけ登校しました。学校では悪い子とは思われてなかったので校長先生に止められました。大検に落ちたら戻ってきなさいとも言われました。円満にやめました。夏に大検をとれました。一年、予備校に通いました。

…信頼できない大人…

 親戚には「恥さらし」と言われましたが大学に合格したら「自慢の子」と言いました。大人は信頼できないと思いました。
 大学では心理学をとりましたが、不登校については学校復帰率を図ろうとするのに違和感をもちました。(不登校支援の)東京シューレを知り、週一回ボランティアをしました。
 子供たちに通信制やフリースクールだったら行けるのではないかと言うのは、飛び立てるのが「まだ」の子にプレッシャーをかけてるのではないかと気づきました。
 シューレのセミナーで聞いた不登校の子の言葉「学校では私が私でなくなる」は自分の気持ちに合うと思いました。

 

学校への違和感

静さん:(中学校では)教科書を忘れたとき、前の学校では家に持って帰ったということは勉強する気があったと褒められたのですが、後の学校では有無をいわさず引っぱ叩かれました。そとから来た私だけ違和感をもちました。

学さん:自分はそういうのが普通だと思ってました。

スタッフ:違和感があってもわからず苦しんだのですね。

…ここから事前に募った質問です。

 

家にこもりがちな子が心配

質問1 

世の中の流れで、子どもが家の外に出ないケースが増えています。親としては外に出て欲しいと思うのですが、どう思いますか。

学さん:親は子供に「こうあって欲しい」と思います。「学校は楽しい?」と子どもに聞くのは何かあった時何も言えなくなるのではないかと思います。
 うちの子も話題はゲーム中心です。学校のことを聞きたいのですが彼の関心がそれなら、それでいいかと思います。ネットでもメタバースなど疑似的なつながりがあります。昔に比べれば外につながってます。

静さん:外に出てきて欲しいと思いますが、不登校議連で石川県の方が「安心して家にこもっていい状態を作っていいのではないか」と聞き感銘を受けました。

学さん:外に出る出ないよりも関心をもっているかいないかです。うちの子もゲーム、ニャンコ大戦争でくじが引けるか引けないか…全く役に立たないけど何かに関心をもってくれている、好きとか嫌いが大事です。

 

国の支援は…


スタッフ:メタバースは子供たちをつないでます。チャットで会話して会いたくなったらフリースペースに出てきます。(ネットのつながりで)名古屋からわざわざ藤沢にくる子もいます。これらに国の支援はありますか。

学さん:18年間、この仕事をしてますが…変わっていますが、大きく見ると集団行動など画一的で変わってません。古典的教育…嫌なことに耐えしのぶのが教育と言う人が多いです。そんな人もメタバースだと口を閉ざします。

スタッフ:具体的事例を発信するのが大事ですね。

学さん:(そういう人は)あなた、古いねと言われるのに弱いです。

 

否定的な人に囲まれて
選択的登校について

質問2

不登校に対するネガティブな視線がつらいです。

学さん:そういった人たちから離れて、理解ある人たちの場へ行く、メンタルケアをした方が良いのでは。

静さん:大阪はフリースクールが沢山あるそうです。ここがダメならあそこと変えられます。私は不登校時代、スイミングスクールへも行きました。
松浦さんという方が大阪から秋田の小さな町へ越してきました。学校は行きたい時だけ行く、「選択登校」をされてます。小さな町で、学校も教育委員会もそれを了承してます。

学さん:地域差があります。かなりの数、それが良いと移住してきてます。積極的不登校も増えてます。今の学校が現状に合わないのをわかってきています。

松浦家のYOUTUBEが公開されてます。誰でもできるわけではありませんが、こういうやり方もあります。

 

自宅学習と情報収集
子供の感受性を邪魔しない

質問3 
自宅学習はどのようにされたのか、また情報はどこから得たのでしょうか。

静さん:親が自分を丸ごと肯定してくれましたが、私は「学校信仰」が強くて自分で自分を追い詰めました。大検後のステップは明確ですが、高校に戻りたくありません。合格後、お祝いをもってきてくれた方もいました。高一のとき好きだった国語の先生に手紙を出しました。先生も実はあの高校が苦痛で定年前に辞めてました。そんなやりとりが精神状態を安定させてくれました。
 情報は大検の予備校なども母が手を尽くしたのではないかと思います。

学さん:上から「やれ!」と言われるのが苦手でした。不登校中は自分のペースで勉強しました。地理が好きで成績がものすごく上がりました。登校しはじめたら友人と遊んで落ちましたが。バランスをとるよりも関心があるものを特化した方がいいのでは。
 沖縄に徹底して教えないフリースクールがあります。自分が何に関心があるか分かっている子供たちばかりいます。そこの中心者の灘高→東大出身の先生いわく、永田町の東大法学部出身の人たちは玉石混合、何をやりたいかわかっている人がいませんと。

スタッフ(お子さんが東京サドベリースクール出身):東京サドベリースクールでは人から言われるのではない、自分軸の子たちが育ってます。たとえ好きなことがなくても「自分は自分」と思ってます。

学さん:40年前はそこそこの学校、そこそこの会社へが優先しました。今は学力が安定の礎ではなくなりました。

スタッフ:いい大学の子の方が引きこもり率が高いかもしれません。

学さん:経験をと言っても、自分の関心がある経験であるかどうかが大事です。またつねに関心があるわけではなく、飽きたら次にうつればいいです。子供の感受性を邪魔しません。

 

行政の支援
連携へのヒント

質問4
フリースクールに通うことへの、行政の支援、政治との連携はどうすればいいでしょうか。

学さん:金銭的なことは県と市です。何のアドバイスになっておらず恐縮ですが…とりあえず県会、市会議員のところへ行ってみます。話を聞こうとしない議員はあきらめていいです。聞こうとする人はいます。自民党でもものすごく熱心に対応してくれる人もいます。まともな議員なら聞きます。特に選挙前は有権者を大事にします。

 

今、苦しんでいる子へ

 

…最後にお二人から自信と希望のあるエールを。

静さん:不登校時代は将来が不安でたまらなかったです。偶然が重なって、自分の力だけではありませんでした。当時はおどしのことばもありました。でも、ちゃんとしてます。
 今、大変なめにあっている分、楽しいことが待ってます。ゲームの好きなBGMが流れてきた!なんて、目の前の小さなことを楽しんでください。

学さん:当時の自分は小さなこと(額をさして)この傷がとても気になり、コンプレックスの塊でした。(以前は)こんな風に言えませんでした。「今は自分を追い詰めている」ことが多い、それにあまり真面目に向き合わなくていいです。
 否応なく時間は流れます。周りも変わります。好きな音楽が流れたら楽しむ。自信を持たなくても、希望を失ってもしゃあない。周囲がかわっている。自分にパキーンとあたるものがあります。

※メモをもとに加筆、構成し、まとめました。</span>